『パラノイドパーク』(ガス・ヴァン・サント/07’)

『ジェリー』『エレファント』『ラスト・デイズ』と、このところの嗚呼恐ろしやな快進撃は停滞してしまったのだろうか。撮影がハリス・サヴィテスからクリストファー・ドイルに代わったせいか、持続力のあるショットは減退し、スナップショット的なスケッチというかワンショット、ワンショットがとにかく単発的で軽い。ガス・ヴァン・サント少年愛が炸裂してる点はいいのだけど(少年は少女に犯される)。。。その中でもハッとさせられるのは、少女に別れを告げる場面でニーノ・ロータのメロディ(『魂のジュリエッタ』)が流れるという意表を突いた音の使い方で、ニーノ・ロータだからどうこうというのはあまり興味を惹かれないのだけど、現代映画の前線に位置するようなガスの映画と古典のメロディの組み合わせは絶妙。他にも少年がシャワーで「罪」を洗い流す場面におけるエレクトロニカ的音響処理だとか、よい。でもなー。そりゃあガス・ヴァン・サントの映画なのだから矢鱈な映画より断然面白いのだが。腑に落ちない。ところで少年が新たに出会うガールフレンドの隣に佇む少女はとても美しい。ここでの少年の視点ショットは一瞬視点が定まらないように浮遊していて、素晴らしいと思う。