パゾリーニ映画祭「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」

Sopralluoghi in Palestina per il Vangelo secondo Matteo

「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」で上映される未公開作品の試写を二本。ドキュメンタリー映画『「奇跡の丘」のためのパレスチナ訪問』とオムニバス作品『イタリア式奇想曲』。どちらも日本語字幕付きは初見。

 

『「奇跡の丘」のためのパレスチナ訪問』は、パゾリーニによる風景論。ロケハンに向かったパレスチナの地で、勝手に失望してしまうパゾリーニ。興味深い言葉は「スピリチュアル」という言葉の定義ですね。パゾリーニは「スピリチュアル」を美学的な意味合いで捉えている。これはパゾリーニの風景論と大きく関わっていて、目の前の(失望的な)風景に、誰も見たことがない聖地の風景を二重に映す=幻視していくというか。望んでいたロケーションやエキストラの顔は見つからないと言いつつ、ラフ・スケッチのように収められた映像にはパゾリーニらしい人間の生活の生々しさがある。とても興味深かった。

 

Che cosa sono le nuvole?

もう一本は『イタリア式奇想曲』の中の一本『雲って何?』。やはりパゾリーニの映画にトトとニネット・ダヴォリが出ていると安心するというか、嬉しくなる。彼らはいつもパゾリーニの映画に開放性を与えてくれる。そしてパゾリーニの短編はとても面白い。多くの映画作家と同じように、短編の実験精神が長編につながっている。このオムニバス・コメディ映画の中でも際立っています。

 

以下、PFFの「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」公式サイト。とても貴重な上映になります。ありがたい。

pff.jp