2011年ベスト 〜音楽編〜

2011年は音楽を聴くのが楽しくて楽しくて仕方ない一年だった。何枚かのアルバムを挙げて、こんな一年でした。という芸当はできず、最終的に30枚になってしまったよ。個人的には、斜陽の末期状態ともいえる音楽業界の経済云々とは裏腹に、今、ポップミュージックは最高に面白い時代に入っているんだ、という感覚がある。また、一人のアーティストやバンドの持つポテンシャルを計って「将来性」とか「可能性」という言葉を語ることに興味を失った一年でもあった(映画に関しても同じことを思い始めている)。なんというか、もっとキラメキに賭けたいんだよね。たとえ一曲のマジック、それが偶然の数分間だったとしても。同時に一人のリスナーとしても一枚一枚とじっくり相対したい気持ちが高まった年でもあった。
1.Razika『Program 91』

Program 91

Program 91

スモールタウン・スーパーサウンドノルウェーのギャルバン。「Nytt Pa Nytt」と「Taste My Dream」という今年一番のキラーチューンを目覚めに聴いては、ポコポコと踊った。個人的にはスリッツというより正しくブロンディの精神を感じている。
2.A$AP Rocky『LIVELOVEA$AP』

フロムNY発ミックステープ。今年一番聴いたHIPHOPは間違いなくこれ。話題のClams Casinoがトラックを手掛けていたり。チル・ウェイヴィーなトラックのフレッシュぶりもさることながら、絡みつくようなエイサップのライミングが癖になる。すごく歌心があるんだな。




3.Beastie Boys『Hot Sauce Committee Pt. 2』

Hot Sauce Committee Pt. 2

Hot Sauce Committee Pt. 2

特に「Non Stop Disco Powerpack」や「OK」のトラックやライミングのコクが好きだ。何がカッコいいかを熟知しているが故に出せるコクなのだろう。
4.Sleep 8 Over『Forever』

ネオン・インディアンの新譜にも感じることだけど、この世代にとって「80年代」というのはノスタルジーであると同時にエキゾチズムなのだと思う。つまり妄想の80年代。個人的な共感はそこにある。ベストトラック「Romantic Streams」を繰り返し聴いて涙するとき感じるのは、正しくそれ。Sleep 8 Overはよりサイケデリックに記憶に色をつける。そこにはクラウデットや、またはスロウダイヴのような精神も感じる。


5.Psychedelic Horseshit『Laced』

Laced

Laced

ボーカルも含め、ものすごく野蛮で投げっぱのように見えて様々な音楽のエッセンス、特にリズムをサイケデリックに折衷している。シンリシュープリーム(復活オメ!)が民族音楽のリズムに目覚めたような面白さ。
6.John Maus『We Must Become the Pitiless Censors of O』
We Must Become the Pitiless Censors of O

We Must Become the Pitiless Censors of O

Ariel Pinkの訳分からなさに惹かれて今年は旧譜も集めてしまったのだけど、これはAriel Pink並に、いやそれ以上に気に入ってしまった一枚。
7.Peeking Lights『936』
936

936

これが今年のベストアルバムかもね。橋元優歩さんのレビューが完璧に言い得てる。「逃げながらも絶えず世界を意識せざるをえない、夢を見ながらも常に醒めざるをえないチルウェイヴ的な感性に、私個人はより多く共感する」。
8.Shabazz Palaces『Black Up』
BLACK UP (IMPORT)

BLACK UP (IMPORT)

9.Lucas Santtana『Sem Nostalgia』
Sem Nostalgia

Sem Nostalgia

1曲目のマッシュアップはハッタリだけど(とはいえカッコいい!)、何よりギターの音色が残るね。フォーテット+トン・ゼー+トム・ヨークかあ。
10.DCPRG『ALTER WAR IN TOKYO』
ALTER WAR IN TOKYO

ALTER WAR IN TOKYO

菊地さん自身はあまり気に入ってないようだけど、これはよく聴いた(だけど確かに『ミラーボールズ』はちょっとリラクシンすぎる演奏かもね)。個人的にも行った恵比寿リキッドのライブの録音。新生DCPRGの丸い粒子が飛び交うリズムが堪能できる。『ジャングルクルーズうってつけの日』の微妙なニュアンスをライブのとき以上に堪能できた。オリジナルアルバム本当に楽しみ!
11.White Denim
D

D

最初はTame Impala?って思ったけど全然違うことにすぐ気づいた。フルートで始まる「River To Consider」なんて、演奏自体はどこのブラジリアン・レアグルーヴですか!?だもんね。驚異的に演奏が巧い。前作はよりロッキンな内容だけどちょっとしたエレクトリックギターのニュアンス(マイルスだね)でグルーヴをスタートさせるセンスとかたまらなく好きだ。
Workout Holiday

Workout Holiday

12.Wild Frag『WILD FRAG』
Wild Flag

Wild Flag

何がカッコいいか知ってるライオット・ガールたちによる向上心に感銘。エレン・ペイジが大ファンです!て、FBで言ってたよ。
13.Sandro Perri『Impossible Spaces』
Impossible Spaces

Impossible Spaces

14.James Ferrano『Far Side Virtual』

ゲルニカファンタズマを目指す!このリストの中で唯一年末に聴いた作品でリアルタイムで聴きこんでいます。








15.Noah23『Gimme Indie Rock Mixtape』

ミックステープ。MGMTとかキャットパワーとかの曲の上で(勝手に?)ラップしたアルバム。お気に入りはジョン・フルシアンテジョアンナ・ニューサムのトラック。







16.Las Kellies『Kellies』

Kellies

Kellies

フロム・アルゼンチンのギャルバン。ゴリゴリとベースで始まるノー・ウェイブ的展開をいつも信用してしまう。
17.Mellowhype『Blackenedwhite』
ブラックンドホワイト

ブラックンドホワイト

OFWGKTA関連ではこれを一番聴いた。
18.Austra『Feel It Break』
Feel It Break

Feel It Break

「Beat and the Pulse」のPVは個人的に今年のベストPV。USTで見たライブも最高に楽しかった。
19.Kip Hanrahan『At Home in Anger』
AT HOME IN ANGER

AT HOME IN ANGER

1曲目が始まった瞬間濃ゆい血のリズムが。キップ・ハンラハンの音楽を聴くと赤ワインと固めの肉が欲しくなります。
20.Ghostpoet『Peanut Butter Blues & Melancholy Jam』
Peanut Butter Blues & Melancholy Jam (BWOOD057CD)

Peanut Butter Blues & Melancholy Jam (BWOOD057CD)

21.Owiny Sigoma Band『Owiny Sigoma Band』
Owiny Sigoma Band (BWOOD062CD)

Owiny Sigoma Band (BWOOD062CD)

ジャイルス・ピーターソンのレーベルから2枚。Ghostpoetはダブ・ステップmeetsギル・スコット・ヘロン。Owiny Sigoma Bandはアフリカものでは一番聴いた。ダブ処理を持ち込むところがいい。
22.Thee Oh Sees『Carrion Crawler/Dream』
Carrion Crawler/Dream

Carrion Crawler/Dream

宇宙人の奏でるデッドエンドなロックンロール。
23.La Sera『La Sera』
La Sera

La Sera

ヴィヴィアン・ガールズの「こじはる」ことケイティのソロ。お日様の下で聴くとグッとくる。ヴィヴィアンのライブも楽しかったな!
24.木村カエラ『8』
8EIGHT8 (初回盤)(DVD付)

8EIGHT8 (初回盤)(DVD付)

ファンなんで。というのを差し引いても素晴らしいアルバム。カエラちゃんにはこのくらいの音数が合ってる。会心の出来だと思う。どんどん装飾が過剰になってたからね。カエラちゃんのボーカルラインをなぞるような録音もベリーグッド。「Kekko」とか最高。
25.James Blake『James Blake』
James Blake

James Blake

26.Metronomy『English Riviera』
English Riviera

English Riviera

リミックスワークのアルバムも聴いてみた。シャルロット・ゲンズブールとか入ってるんだけど、メトロノミーのエッセンスが完パケされてるアルバムだったね。
27.Radiodept『Passive Aggressive: Singles 2002-2010』
Passive Aggressive: Singles 2002-2010

Passive Aggressive: Singles 2002-2010

今年一番聴いたアルバムは実はこれ。とにかく曲がいい。シューゲイズmeetsジャクソン5!シューゲイズmeetsフィッシュマンズ
28.The Caretaker『Empty Bliss Beyond This World』
Empty Bliss Beyond This World

Empty Bliss Beyond This World

フィルムや蓄音機のノイズをエディットすることで記憶のサブリミナルが聴覚に起こるという錯覚。あまりにも危険な音楽。ほんとに意識が遠くなっていく。
29.Tindersticks『Claire Denis Film Scores 1996-2009』
Claire Denis Film Scores 1996-2009

Claire Denis Film Scores 1996-2009

サントラではティンダースティックス×クレール・ドゥニのこのアルバムと『ラブ・アゲイン』のサントラがフェイヴァリット。
30.Efrim Menuck『Play's 'high Gospel'』
PLAYS

PLAYS "HIGH GOSPEL"

この音楽にゴスペルと名付けるところが素晴らしい。考えてみればジェイムス・ブレイクのアルバムもゴスペルのようだね。


ほか、トラック単位でDirty Beachesの「God Speed」、ドレイク「Take Care」などを愛聴していました。以下ベストキラーチューンのRazika「Taste My Dream」と「Nytt Pa Nytt」で、2011年、またいつか会おうね!のご挨拶。