『グレバン蝋美術館』(ジャック・ドゥミ/1958)

VHSで。ジャック・ドゥミジャン・コクトージャン=ルイ・バローによる20分の短編。「夜中に蝋人形館なんかに入っちゃいけないよ」という映画。案の定、蝋人形たちが生き生きと動き出すという恐怖の物語へ。しかしそこはドゥミ様らしくキッチュでキュートなダークメルヘン。本人役のジャン・コクトーコクトーを模した蝋人形(彼はコクトー著作のゴーストライター)に「お前のことは嫌いだ、でもお前の仕事には感謝している」とか延々真顔で説教するやりとりが楽しい。同じくジャン=ルイ・バロージャン=ルイ・バローの横に並ぶシーンでは、どっちが蝋人形なんだか、なパントマイムまで飛び出す。主人公が蝋人形たちに幽閉される部屋の美術が素晴らしい。頭部や手首がずらりと並ぶ部屋、棚に並べられた頭部のひとつがさり気なくニヤリと笑うあたり、どこかコクトー的なセンスを感じさせる。主人公の顔を模した蝋人形の頭部がなにやらの液体に入れられて溶けてしまうくだりで思わず「おおおッ」と唸る。顔がプクプクと溶けて最後に目玉だけ元気に浮き上がってくるんです。こうゆうの大好き。


で、いよいよ今週末から『シェルブールの雨傘/ロシュフォールの恋人たち』のデジタルニューリマスター上映がはじまる。ジャック・ドゥミ・セレクションでは現在あの美しい『ローラ』が公開中です。お見逃しなく!
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