『ノン、あるいは支配の虚しい栄光』(マノエル・ド・オリヴェイラ/90’ポルトガル)

ノン、あるいは支配の空しい栄光 [DVD]

ノン、あるいは支配の空しい栄光 [DVD]

ユーロスペース、デジタル上映で。「ポルトガル人にとって1974年4月25日は植民地戦争終結の日である」とか事前にポルトガルの歴史を知っていたとしても、おそらくこの映画を一回見ただけで受け止められるだけの器量が自分にはない。まったく凄い映画だ。ジローラモ氏を20才くらい若くした感じの青年兵士の顔が、たまらなくよい。兵士たちを運ぶ車は映画が始まって30分以上?一度も止まらず、ジャングルを背景に長々と戦争に関するダイアログが続いていくのだけど、この画面がとっても表情豊かで、まったく飽きない。最初の戦闘シーンの空に放たれた無数の槍と、それが相手に落ちてくる俯瞰ぎみのショット、というよりも一連の画面連鎖。だとか、銃撃戦が一旦静まり、人を食ったような甲高い叫びと絶妙なタイミングで、負傷した黒人青年が藪から登場する場面(これは幻視?)。だとか、すごい勢いで走る馬をカメラが平行移動しながら捉える平原の超絶カット。も一つ、バッサリ切られた手首や、最後の負傷兵士の病棟。どれもはっきり言って、怖い。ショットの輝きだけ語っても全然追いつけないや。デジタルでも、すげー。