『いつか会える』(ブノワ・ジャコー/2004)


M−onをつけていたらクラムボン「Re−アホイ!」(long version)のPVが流れていて丹念に研ぎ澄まされた音の粒の拡散ぶりに感動してしまった。スタジオでの撮影によるシンプルなPVにも好感。さすがだねぇ、アルバムに期待。毎年恒例の野音ライブ、行かなきゃ。


輸入DVDでブノワ・ジャコー&イジルド・ル・ベスコの『いつか会える』。一昨年日仏で上映された『L'intouchable』(2006)はあんまり評判よくなかったけど個人的にはなかなか面白い作品だなと特にイジルド・ル・ベスコがインドに旅立つ前までは強く印象に残っています。不可思議なステップを踏むダンスとか。『L'intouchable』ではインドを経由したル・ベスコが本作ではフランス→スペイン→モロッコギリシャを渡り歩く。恋人との出会い〜銀行強盗による逃避行がモノ凄いスピード(省略)で描かれるのが面白い。「キミにさよならを言わなければならない」とエキゾチックな顔立ちをした青年からの突然の電話→イジルド・ル・ベスコが居間のテレビを点け、ニュース映像で銀行強盗の一部始終を目撃する、というちょっと捻った展開/挿入が素晴らしい。ここから物語は男女4人の逃避行、ロードムービーに展開する。根は繊細な青年が19歳の少女ル・ベスコにときに甘えるように寄り添う様がまるで私映画のような親密さ、ざらついたフィルムで描かれる。やや絞りきれていないル・ベスコの体型も妙に生々しい。


ギリシャの空港で一文なしで一人ぼっちにされてしまったル・ベスコが下心まるだしの男性や、レズビアンの女性の家を渡り歩く彷徨は、どこか、純粋私映画の傑作シャンタル・アッケルマンの『私、君、彼、彼女』を想起させる。女性2人で裸で抱き合う展開とか。失踪した青年に「いつか会える」と信じるル・ベスコは孤島に向かう。二人で語り合った約束の孤島/楽園。しかしこの孤島はどんな地図にも記されていない。





ところで『レイチェルの結婚』(ジョナサン・デミ)がこのままスルーされそうな気がしてセツナイです。素晴らしい作品なので是非お見逃しなく。見ようかどうか迷ってる方はDieSixxさんによる情感に満ちた『レイチェルの結婚』評を読んでみてください。↓
http://d.hatena.ne.jp/DieSixx/20090513