『チェス狂』(フセヴォロド・プドフキン/1925)

20分の短編、サイレント。これも楽しい。主人公の靴から袖から次々と子猫が出てくる冒頭から既に楽しい。『ボリシェヴィキ〜』もそうですが、アクションの速さに驚かされる。チェスのことで頭がいっぱいの主人公。婚約者はこの世からチェスなんか消えてしまえばいい、と思っている。そんな彼女を嘲笑うかのように劇中に出てくる小物や部屋までが悉くチェス盤のように白・黒のチェック模様なのが楽しい。これもまた傑作。


『母』は完全なるスペクタクル活劇。後半の銃撃戦と民族大移動及び氷河を割って進む船が凄まじい。ただ主張しまくる壮大な音楽が付けられていて、革命を扱った作品だけにお国柄もあり仕方ないのだろうけど、正直それが私にはウルサかった、、。圧巻の作品なのですが。できればもっとニュートラルな状態で見たいものです。


さてさて今週末から『ベンジャミン・バトン』(デヴィッド・フィンチャー)が公開される。樋口泰人さん評するところの「作家の烙印のない」「見事な平板さ」が気になって仕方がない、、。