『ピューリタンの女』(ジャック・ドワイヨン/1986)

『泣きしずむ女』と『あばずれ女』が小規模で非常にパーソナルな作品という印象を受けるのに対して、一転してサンドリーヌ・ボネールミシェル・ピコリという大物俳優によるややお金のかかった中規模な作品。でもこれが抜群によいんだ。劇場とその舞台裏で行なわれる父と娘のとめどない「かくれんぼ」又は「追いかけっこ」。舞台セットを満遍なく生かした俳優の動かし方とそれを捉える自由闊達な撮影が超スバラシイ。サンドリーヌ・ボネールイカレタ男に服を脱ぎ取られ羽交い絞めにされそのまま鏡に張り付く場面があって、ここでの鏡と二重になった彼女の表情が忘れられない。汚れてしまった女、サンドリーヌ・ボネールよいね。ピコリの”カリスマ”演技も素晴らしい。