『あたらしい朝』(黒田硫黄)

あたらしい朝(1) (アフタヌーンKC)

あたらしい朝(1) (アフタヌーンKC)

元々そんなに詳しいわけじゃないのだけど(岡崎京子とか高野文子とか大島弓子とか今も大好きですが。昔は丸尾末広とかを収集していたり、でもなんというかヴィレバンな(!?)漫画をかじった程度の浅い知識しか持ち合わせていません)マンガを読まなくなって久しい。だけどこればっかは買わないわけにはいかなかった。黒田硫黄、超待望の新刊です!冒頭の二人組が窓から飛び降りる大コマで既に期待度満点&ちょっと涙ぐんだ。結構この先が期待できるかも。今月にはなんと短編集も出るんだって。嬉しいぞ。


ちなみに滅茶苦茶好きだった『セクシーボイスアンドロボ』(愛していた。といっていいくらい好きでした)がドラマ化されたときは、これはもう本当に悲劇極まりないなと思って、出来る限り視界に入れないように(駅に貼ってある広告とかさ!)していました。『茄子』とか懐かしいね。「空中庭園」とか。


あっ、『のだめカンタービレ』は好きです。


も少し書く。この『あたらしい朝』という作品は書くという行為そのものが戦争と化しているかのような(あの墨絵の筆致なので特に)大傑作であります。第7話「燃える空」の戦艦爆発からの逃亡(冒頭の飛び降りと重なる)の連続する大コマなんて超ド級の活劇だなぁと震えがきます。故郷に残した「女と大金」がしかしその存在の確証性すらも宙吊りにされたまま、戦争というロードムービーの中でそれら「物質」(「女と金」は何と対価されるのか?)は”はなされていく”。やっぱ黒田硫黄は天才だなぁ。とこの漫画家の途方もない才能に打ちのめされた次第です。

ユリイカ2003年8月号 特集=黒田硫黄

ユリイカ2003年8月号 特集=黒田硫黄