『映画「ピクニック」の撮影から』(アラン・フレシェール/1994)


上映前に本編『ピクニック』(ジャン・ルノワール)の上映あり。『ピクニック』本編におけるシルヴィア・バタイユの涙に打たれながら、なんてことない展開なのに何故にこんなに素晴らしいのだろうか!と改めて感銘を受けながら、こちらは撮影風景&アウトテイク&NG集。果たしてどれだけ残っているのだろう?と心配していたものの、全編が『ピクニック』の素材で出来ていることがオドロキだった。結構テイク重ねてるのも意外。カチンコ係が少年だったりジョルジュ・ダルヌー自身が演じる前にカチンコを持っていたり、自主映画のような小さなチームで撮っていたのだなぁと感慨深い。何種類にも及ぶ別アングルからのアウトテイク。ブランコのシーンでシルヴィア・バタイユが手前に来たときだけピントが合うショットがあって恐いくらい美しかったり。NGして悪戯っ子のように舌出しをするシルヴィア・バタイユがたまらなくキュートだったり。作品自体も素晴らしいけど、シルヴィア・バタイユをこれでもかと堪能できるのがなにより嬉しい。なんと美しい人なのでしょう。


すべてを超越していたのはシルヴィア・バタイユとジョルジュ・ダルヌーのキスシーンだった。何度も何度もテイクを重ねていたのだね。このシーンが無音で上映されたことは大袈裟に言えば近年最大のショックだった。テイクを重ねる内にどんどんカメラが寄ってくわけだけど、最後は二人の唇の微妙な動きまで掴めるほど超アップになる。思わずこんなキスシーンは見たことがない!と言いたくなるほど、それは親密な官能を呼び覚ます。NG後のシルヴィア・バタイユがオマケのようにジョルジュ・ダルヌーにキスするショット。恋人たちの些細な遊びさながらの親密な笑顔に心底打たれた。


シルヴィア・バタイユ、最強。