『ダミー』(キラ・ムラートワ/2007)

こちらは短編。なるほど『調律師』と併映も納得の金銭の価値/選択に纏わるショートショートといった趣き。幼馴染だけど二人で肖像画にされたことはないと言う、2人のよく似た老人を描く画家の女性が美しい。ニセの大金を手に入れた彼女は大声で泣きながら大声で笑う。騙されてる間の束の間の幸福にこそ生の価値はあるのだと嬉々として主張する彼女の元夫も又、騙され顔面蒼白に。一杯喰わせた詐欺師が「ジャマイカーーーン!」と叫ぶラストが晴れやかで可笑しい。