『シェルブールの雨傘』(ジャック・ドゥミ/1964)


シネセゾン渋谷にて大入りの初日。嬉しいッ!女子率高し。待ってました!!!


この世紀の傑作についてはシネフィルサークルを超え90年代渋谷系のバイブルとなった山田宏一氏の『友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』に、これ以上ない筆致で素描されている。


シェルブールの雨傘』は夢のようなアイリス・インで始まる。港が見える。かすかに汽笛が聞こえてくる。港の遠景からキャメラがゆるやかにパン・ダウンしてゆくと、その俯瞰でとらえられた舗道にポツリ、ポツリと雨粒が落ちてくる。やがて、赤い雨傘が通る。青い雨傘が通る。黄色い雨傘が通る。グリーンの雨傘が、ピンクの雨傘が、紫の雨傘が通る。色とりどりの雨傘がしだいに足早やに行き交うにつれて、雨脚も早くなってきて、いよいよ本降りになる。シネマスコープの画面に横一列に原色のあざやかな雨傘がならび、そこに『シェルブールの雨傘』というメイン・タイトルが出る。ついでクレジット・タイトルがつづき、監督ジャック・ドゥミの名が出たあと、キャメラがゆるやかにパン・アップしてゆき、もとの位置に戻ってくると、すでに雨に煙る港の風景がボーッと遠くにかすんでいるのである。  
『友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』(山田宏一


この作品を初めて見たのは忘れもしない大学のフランス語の授業でした。いきなり美しすぎる冒頭に泣き、そのあと、あれ?ミュージカルなのに全然踊ってないじゃん!てことに驚きました。山田宏一氏による「シネマ・オペレッタ」とは見事な命名だと思います。改めて思ったのは、この作品のカトリーヌ・ドヌーヴって信じ難いほど美しいですね。あと「僕には野心はない。だけど叶えたい夢がある」って素敵な台詞ですよねッ!