『我が至上の愛 アストレとセラドン』(エリック・ロメール/2007)


ようやくロメールの新作を見る。これは本当に素晴らしいですね☆真面目に語ろうとするこちらを嘲笑うかのようなバカバカしさがラスト、こんなにも崇高な境地に至るなんて!左肩を猥らに晒しているニンフたちや、腿が露わになったアストレの寝姿、これなんか、まだまだ序の口に過ぎない。ラストに到るアストレとセラドンの肉感的接触が尋常じゃなくエロいのです。そして2人のキスこそが蘇生行為に他ならないのですよ。ネタバレになるので2人がどんな状況で激しいキスを交わすのかは書けないのですが、この性的に倒錯した、且つ、煮えたぎる生が大爆発を起こすかのようなラスト、素晴らしいです。この作品、キスに注目してくださいとだけ言っておきます。あとアストレもセラドンも眠りから覚める際、強い光で視界が遮られてしまうとこもなんか良いね。すんごい傑作です。お客さんもそれなりに入っててなにより。ロメールこの作品で本当に引退なのでしょうか!?


冒頭の字幕による説明(サイレント映画みたい)の最後に「ピエール・ズッカに捧ぐ」とあります。そもそも『アストレ〜』の企画を持ち込んだのがズッカらしい。ピエール・ズッカといえばピエール・クロソウスキー夫妻を主演(!)に迎えた『ロベルトは今夜』(1977)しか見たことがないのですが、絵画の使い方なんかちょっと彷彿させるものがあるかも。『ロベルトは今夜』という作品はジュリエット・ベルトの男装姿がカッコよくて、あとダニエル・シュミットも役者として出ています。最後はサイレントという妙な作品ですね。録画したブツあるので見直してみようかしら。