『ザ・シャウト さまよえる幻響』(イエジー・スコリモフスキー/1978)

ザ・シャウト さまよえる幻響 [DVD]

ザ・シャウト さまよえる幻響 [DVD]

魂を4つに割られた魔術師クロスリー。過去と現在の時制が交錯し合うというより、そもそもの中心となる時制が存在しないかのようなこの作品の冒頭で、”語り部”ことクロスリーはひとつ前置きを置いた上で話を始める。それがあたかもこの映画の注意書きのようで面白い。「話し方は違っても内容は同じだ。場面を変えたりクライマックスを変える。それは話を生き生きとさせたいからだ。」


アラン・ベイツクロスリー)とスザンナ・ヨークの後頭部を過度に主軸にした幻惑的な切り返し(怪奇なオーバーラップも込み)。この切り返し以降、スザンナ・ヨーククロスリーの魔術に陥ることで”我慢ができなくなる”。そしてこの二人のベッドシーンのなんと戦慄が走ることか。精神病院の広場で行なわれるクリケット。ここにジョン・ハート(スザンナの夫)が現れるのは、つまり彼も狂ってしまったということだろうか、、。もうぐるんぐるんな映画ですね。クリケットのスコアボックスをみんなで手押しで移動させる大団円も凄まじすぎた。もちろんラストの食堂(食堂に○○ですよ!)も。大傑作。


原作のロバート・グレイヴス『叫び』も読んでみたい。由良君美編『現代イギリス幻想小説』に入ってるらしいです。ちょっと調べたら入手困難ぽいですが。


さてさて今日は素晴らしいDVD−BOXが家に届きまして、果たしてこれを見てしまっていいものだろうか?!とパッケージを見る度に緊張してしまうのですが、その話はまた後日!