『歴史は夜作られる』(フランク・ボーゼージ/1937)


VHSでフランク・ボーゼージを2本。エレガント!シャルル・ボワイエジーン・アーサーを結びつけるキューピット=マジックで書かれた顔”ココ”(腹話術)は勇気がなくて言い出せないことも代弁してくれる心の親友ですね。素敵です。気づいたら二人朝まで踊っていた”つかの間”の逢瀬@パリから、ニューヨークでの再会まで、擦れ違いを繰り返す恋人たちの物語に、まさかこんな展開が待っていたとは、と驚きの遭難事故(超スペクタル!)。妻を取られた夫の気の触れた命令により、濃霧、悪天候の中、全速力で進む乗客船アイリーン号。何も知らない恋人たちが、パリでの甘美なダンスをもう一度繰り返す様が、破滅へ向かう船のスピード感と相俟って感動的だ。事故後、沈没しつつある船の上で、死を覚悟した人々が生きることの喜びをスパークさせるラストで涙が溢れる。ここでの御老人の震えるように歓喜する顔のアップが忘れられない。すんごい傑作ッ。