『ライラの大冒険 黄金の羅針盤』(クリス・ワイツ/07’米)

壮大な音楽で強引に話が展開していくこの少女版ハリー・ポッター?(又はロード・オブ・ザ・リング?それらを一本も見ていないので分かりませんが)に見るべきところがなかったかといえば、そんなこともなくて、動物の形をした自分の分身「ダイモン」は、こどもの頃(勿論大人になっても)誰もが胸の中に住まわせている心の親友=己の分身であり、「ダイモン」とは己の相似形ならぬ双子形なのだから、映画の終盤で少女と「ダイモン」を引き離そうとする場面には胸が痛む。ここでの実験室の美術が、もっと広くライラが閉じ込められている研究所の美術が、SFちっくに無機質な手触りがあって結構よい。最後の合戦のシーンも無数の魔女たちが空を飛んでて面白い絵だなぁと思う。ただ、せっかく古典性を備えた顔立ちをした、フィルム映えのするダコタちゃんを見つけたのだから、もっとフェティッシュに撮ってもいいのに、なんだか全体的に素材を生かしきれてない大味な作品だーね。