『恋ざんげ』(アレクサンドル・アストリュック/52’仏)

「カメラ=万年筆論」で知られるアストリュックが、
あの素晴らしい『女の一生』(58)以前に撮った
(『女の一生』は蓮實重彦の選ぶカラー映画ベスト
 にもノミネートされた→『映画に目が眩んで』参照)
台詞を排しナレーションでお話を進めていく変な短編。


女の一生』でも室内の人を照らす光がスポットのように
局所的に当たっていて異様なコントラストの強さを感じた
のだけど(しかしあくまでビデオ鑑賞ですが)、この作品
はモノクロということもあって、より一層その効果が強烈。


女(アヌーク・エーメ)が螺旋階段を上がっていく場面で、
女を追いながら、そのまま天井へ向けてカメラが滑らかに
パンすると男が彼女を見下ろしているというカメラの動き
に象徴されるように、どこか幾何学的で、でも冒頭の視界
を突如黒く遮るカーテン(らしきもの)のように、どこか
魔術的な印象も備えた、風変わりな作品でした。