『レインメーカー』(フランシス・フォード・コッポラ/97’米)

レインメーカー [DVD]

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年末にシネフィル・イマジカで『地獄の黙示録・特別完全版』を
なんとなし見ていたら、あまりの常軌の逸れっぷりに体が震え上がっ
てしまい(それは戦争を描いた映画でありながら映画そのものが戦場
と化しているだとか、または狂人の映画というよりも映画そのものが
狂人なのだとか、まぁそんな感じで)、待望の新作も今年公開される
のかどうなのか、、コッポラ父にはまだまだやっぱり期待してしまう。


で、『レインメーカー』を見てみると、これがまた大・大傑作でして、
芸の細かさをあげればキリがないのだけど、すごく好きな箇所を忘れな
いよう箇条書きにしておく。


・死を宣告された男の鼻血の出るタイミングのショッキングっぷり
・裁判所における咳払い、マイクがハウリングするユーモアっぷり
・おばあちゃんのブッキラぼうな♪You are my sunshine♪
・包帯巻きクレア・デーンズを介護するときのプラトニックなドキドキ感
・常軌を逸脱した暴力夫との格闘(マット・デイモン、冷蔵庫に潰される)


そのどれもに胸が詰まる思いがし、時に笑い、時に泣きそうになる。


そしてラスト、かつて『ゴッドファーザー』でドアが閉まる厳しいラストカットを
撮った作家らしく、未だ苦い勝利を忘れてはいないコッポラの態度に感銘を受ける。


しかしジョン・ヴォイト、憎らしくていいな。クレア・デーンズ、キュートだな。
マット・デイモン、観る側が彼の内面を勝手に補足できる余地がある、とてもいい。


『YOUTH WITHOUT YOUTH』の公開が待たれる。