My 100 Best Films of The 2010s (41-50)

41.『キャロル』/トッド・ヘインズ(2015)

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Carol / Todd  Haynes(2015)

 

誰かを見つめていたいという気持ちや、誰かに心を奪われたり、うっとりするということは、夢の中にいる状態のことではなく、むしろ最も目が覚めた状態のことなのだな。素晴らしい!

 

42.『クリーピー 偽りの隣人』/黒沢清(2016)

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Creepy / Kiyoshi Kurosawa (2016)

 

適切な距離の破壊。間合いだけで人と人は暴力的にも親密にもなれる。間合いの暴力。侵入者。凄すぎて唖然とする、、。そして西島秀俊はスターだわ。

 

43.『皆さま、ごきげんよう』/オタール・イオセリアーニ(2016)

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Chant d'Hiver / Otar Iosseliani (2016)

 

並行世界、ありえたかも知れない世界が、私たちの生きてる世界となんら境界もなく続いてるこの感覚。すべてはコミカルに、ときにアクロバティックに、すっとフレームインしてくる。圧倒的な境地。

 

44.『Main Dans La Main』/ヴァレリー・ドンゼッリ(2012)

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Main Dans La Main / Valerie Donzelli (2012)

 

ヴァレリー・ドンゼッリの最高傑作。フレームの中の二人が同じ動きをする、という方法論の純粋化がスピード感と相俟って、型破りなエモーションを画面に炸裂させる。日本未公開が惜しすぎる!

 

45.『ラブバトル』/ジャック・ドワイヨン(2013)

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Mes séances de lutte / Jacques Doillon (2013)

 

『ラ・ピラート』のジェーン・バーキンが壁にナイフ突き刺しまくる、あの追い込まれぶりが年輪を重ねて新しい境地に入ったというか。ブラボーすぎる。サラ・フォレスティエを愛さずにはいられない。

46.『レディ・バード』/グレタ・ガーウィグ(2017)

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Lady Bird / Greta Gerwig (2017)

 

十代の女の子の怒りや、恥ずかしくてごめんと思ってることや、本当は大好きなのに気づけないでいることや、全部ひっくるめて幸せになれなくて泣いてしまうこと、そのすべてが美しい。号泣。いろんな人にとって大切な映画になるといいと思う!

 

47.『ジャージー・ボーイズ』/クリント・イーストウッド(2014)

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Jersey Boys / Clint Eastwood / (2014)

 

" フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド!"。ラストシーンのミュージカルは、本来のイーストウッドのフレームじゃないなあと思いつつ、新しいことに取り組むこの作家の貪欲な野心にひれ伏す幸福な体験。『ハドソン川の奇跡』もオリヴェイラの映画を意識していたのかな?とか。

 

48.『Light of My Life』/ ケイシー・アフレック(2019)

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Light of My Life / Casey Affleck (2019)

 

ケイシー・アフレック初監督作品。あの美しい『ア・ゴースト・ストーリー』の隣に並ぶべき傑作。廃墟に住むシーンの無人ショット(記憶が物に宿っている)を見れば、ケイシー・アフレックが、役者としてだけでなく映画作家としても覚醒してしまったことは一目瞭然。素晴らしい。

 

49.『ダンボ』/ティム・バートン(2019)

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Dumbo / Tim Burton (2019)

 

あまりにも完璧なタイトルクレジットの出し方~父親の失った片腕の方の胸に娘が飛び込む完璧な映像文章。完璧なエヴァ・グリーン。後輩ウェス・アンダーソンの偉業に対するリスペクトを込めた回答のようでもある。

 

50.『エッセンシャル・キリング』/イエジー・スコリモフスキ(2010)

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Essential Killing / Jerzy Skolimowski (2010)

 

受難の終わりは受難の始まり。一言もセリフがないヴィンセント・ギャロの視界に映ったもの。冷静に振り返ってみて、よくこんな映画作ったなと思う。本質的な殺害、とは。凄い映画。

My 100 Best Films of The 2010s (51-60)

51.『マーサ、あるいはマーシー・メイ』/ショーン・ダーキン(2011)

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Martha Marcy May Marlene / Sean Durkin (2011)

 

昨日の私たちからどれだけ遠いのか?その残酷な画面の余白に自分がいることを発見するとき、『マーサ、あるいはマーシー・メイ』は、作品と自分という距離すら失くしてしまう。恐るべきデビュー作。

 

52.『Queen of Earth』/アレックス・ロス・ペリー(2015)

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Queen of Earth / Alex Ross Perry (2015)

 

アレックス・ロス・ペリーはこの作品で「顔」の作家の最前線に躍り出た。『17歳のカルテ』のエリザベス・モスに当たる不自然な光が、不穏なほど素晴らしい。ジーナ・ローランズの影さえ纏っている。

 

53.『ロスト・シティ・オブ・Z』/ジェームズ・グレイ(2016)

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Lost City of Z / James Gray (2016)

 

「(父)コッポラなら、どうする?」に導かれた重厚で圧巻なド傑作!フィルムで撮ることにこだわりジャングルに向かった出演者たちの疲労の顔が美しい。ロバート・パティンソンはまるでデニス・ホッパーのようだ。

 

54.『Virginia/ヴァージニア』/フランシス・フォード・コッポラ(2011)

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Twixt / Francis Ford Coppola (2011)

 

父コッポラ復帰後「小さな映画」3部作最後の作品。個人的には『テトロ』(2009)に最も強い思い入れがあるが、とんでもない地点へ辿り着く『ヴァージニア』は、フランシス・フォード・コッポラが映画に呪われた映画作家であることを思い出させる(ゴダール曰わく「コッポラは狂人めいている(から好きだ)」)という意味で凄まじい作品。

 

55.『A Bread Factory Part 1&2』/パトリック・ワン(2018)

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A Bread Factory Part 1&2 / Patrick Wang (2018)

 

全体的としてはロバート・アルトマンの作風がまず浮かぶけど、ウェス・アンダーソンのフレームでジャック・リヴェット(『アウトワン』)をやったような舞台劇がとにかく面白い。

 

56.『アウトレイジ・ビヨンド』/北野武(2012)

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Outrage : Beyond / Takeshi Kitano (2012)

 

2010年代北野映画の最高傑作は迷いなくこの作品。重量級のドス黒さがラストに結実する。圧巻。

 

57.『ザ・デッド・ドント・ダイ』/ジム・ジャームッシュ(2019)

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The Dead Don't Die / Jim Jarmusch (2019)

 

Sure Shot!!!で満たされた映画。ティルダ様が刀の一振りでゾンビを仕留めるように、一撃で魅了してしまう撮影がとにかく素晴らしい。冒頭数ショットから「ジャームッシュの映画を見ている!」という多幸感にまず襲われる。リスペクト!!!

 

58.『セインツ 約束の果て』/デヴィッド・ロウリー(2013)

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Ain't Them Bodies Saints / David Lowery (2013)

 

ルーニー・マーラの顔に当たる炙り出された絵のような光を見るだけでも価値がある。テキサスの夜の暗さ、銃撃戦の乾き。傑作以外の何者でもない。ケイシー・アフレックの快進撃はここから始まる。

 

59.『わかってもらえない』/アーシア・アルジェント(2014)

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Misunderstood / Asia Argento (2014)

 

楽譜に書きこまれたいたずら書きをそのまま演奏するかのような調子の狂った感情、調子の狂った子供たち、少女の反抗が画面に炸裂している。血まみれの少女アリア!!!

 

60.『ブルーバレンタイン』/デレク・シアンフランス(2010)

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Blue Valentine / Derec Cianfrance (2010)

 

心と心が今はもう通わない!ということの切実さを描いた忘れられない映画。ラストショットにアメリカ国旗が映り込んでいるところが、また素晴らしい。多くの人にとっても私にとっても大切な作品。