『天使の接吻』(ジャン=ピエール・リモザン/1988)
秋葉原の事件に絶句して、原田の郁ちゃんの『ケモノと魔法』とかN・E・R・Dの新譜が激ヤバイ(アチューアチュー)とかいろいろ書きそびれてしまった。いずれにしても惨劇は突然起きない。気を取り直して映画の話。
東京芸大馬車道校舎にて。ジュリー・デルピー19歳の時の作品。ということは『汚れた血』は15〜16歳ですかッ!?ということを今まで知らなかった。リモザンといえば吉川ひなのと武田真治の『TOKYO EYES』(98’)は本当に好きな作品で今でも年に一回は見直しているのだけど(武田真治の身のこなしがね、魔術的で)、世評高い『NOVO』(02’)はちょっと絶望的に苦手な作品で、でも今回改めて見直してみようと思った次第。『天使の接吻』、ムチャクチャいい映画だった。公開当時はデルピー人気にノッて「少女映画」として宣伝されたみたいなのだけど、むしろ少年の成長譚という趣き。冒頭の二重露光を生かした少年の通り過ぎショット(都市が幻影)〜ラストの”事件後”陽の光を浴びた少年の神々しいショット(少年が幻影)。ホットミルクに涙が落ちるなんて、あざとくてもいい演出じゃないの。やっぱリモザンって変なことするの大好きだよねと苦笑しつつ、最後は小さく拍手してしまった。大寺さんの講義は「シネフィル的ロマネスクと実人生における即物性の衝突」ということで詳細は書かないけど、こちらもスゴク面白かったですッ。
追記*ラスト陽の光を浴びる少年が上半身半裸なとこがよい。惨劇はボクシング会場で起きる。少年の抜けた歯の小話もステキだ。小話を話す叔父はデルピーの実際のお父様とのこと。
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