『
マイ・ブルーベリー・ナイツ』に備えて未見だった『
ブエノスアイレス』を見る。
マヌエル・プイグの『天使の恥部』(このラテン文学は菊地さんのファンにはお馴染み?)が好きというカーウェイにとって恐らく念願の南米ロケだったのでしょう。
トニー・レオンと
レスリー・チャン扮するゲ
イカップルの荒々しいセックスから始まるこの映画、彼らの肌と肌がぶつかり合う音が官能的なくらい耳に残る。この音が全くもって素晴らしい。二人の途方に暮れる沈黙の時間に
アストル・ピアソラ(『情熱的挑発の孤独』かな?)の音楽が被さるという、又は情熱的なタンゴのダンスシーン、女性の足が天井に向かってピンと上がると絶頂に達するという、もうこうゆーのはヤバイ、ヤバすぎる。
フランク・ザッパの音楽もよい。
ウォン・カーウェイって、ショップウィンドウ越しに人物を撮るの好きだよね。勿論この作家特有のコマ落としは全然好きになれないのだが、
トニー・レオンと
レスリー・チャンが煙草の火を移し合うショットでの使用は結構よい。自分にとって
ウォン・カーウェイは『
花様年華』『2046』と、一部で最高傑作との声もある『若き
仕立て屋の恋』なのだけど、これもなんというか引っ掛かるものがある。