『動物、動物たち』(ニコラ・フィリベール/94’仏)

すべての些細な事柄』や『音のない世界で』を見たときにも同じような現象に陥ったのだけど、ニコラ・フィリベールの作品というのは、見終えるとスムースにその映画のファーストカットへと思いが繋がっていくのだよね。『行け、ラペビー!』の、すでに老いた/しかし人生をユーモアで満たしているかのようなラペビーの背中を見れば、まるで活劇然とした冒頭の車と自転車の移動(幸福感すら覚えるシーンだ)に思いは繋がるし、『動物、動物たち』の剥製たちの”新たな進化”を見たあとでは、”彼らが”トラックで運ばれていくファーストカット(これが実にいいカットなんだ)へと思いを寄せてしまう。説明的なナレーションを一切挿まないファーストカットが、まさに透明なまなざしとして静かに甦ってくるわけだ。剥製にされた動物たちが転生を繰り返す。しかしトド?orアザラシ?を折り畳むカットは、怖いんだけど可笑しいな。