『ジェシー・ジェームズの暗殺』(アンドリュー・ドミニク/07’米)


年明けて一発目の映画館。


冒頭、ジェシー・ジェームズの瞼に負った怪我についての補足的な
ナレーション(「いつも驚いたような目をしている」云々〜)が、
物語上の伏線ではなく、画面を見ること/ブラピの顔に注視すること
への伏線になっていて、『12モンキーズ』(テリー・ギリアム
で見せた予測不能な危なっかしいブラピの演技が久々に堪能できる。
やっぱこういう危険なカリスマ的な役を得たらブラピは輝くのだね。


シネスコの画面いっぱいに広がる西部劇的なドッカーンとした雪山の風景。
盗人一味が潜伏中の山小屋に警官たちが向かってくるロングショットとか、
緊迫感溢れる暗殺シーンに挿む小芸だとか、汽車とか犯罪者一味のマスク
だとか、どのカットも小道具もすごく生真面目に作られているのがいいの
だけど、逆にこの生真面目さ(伝記にこだわるあまりの)が作品を長くし
ていて(160分)、後日譚になると画面の質は決して下がらないものの、
その魅力的なシーンの展開をもっと手早くしてもよかったんじゃないか、
とも思った。まぁ、こちらの勝手な欲望に過ぎないのかもしれませんが。


とはいえ、これはすごく面白かった。
ブラッド・ピット、素晴らしいです。
何度も描かれる食事の場面、
テーブルを囲んだ誰をも恐怖に陥れる空笑いときたら!


アンドリュー・ドミニク氏の『チョッパー・リード』は未見ですが、
ジェシー・ジェームズと同じくカリスマ犯罪者の伝記的作品なのだとか。