『薔薇は生きている』山川彌千枝

これはある一人の少女が遺した散文集。8歳から結核で亡くなる16歳までの作品が収められております。早熟の天才の仕事というよりも、大人が描く少女幻想とは趣きというか風景が大きく違うというか、読んでいると、少女が書き物をしたためているその場の空気に触れることができる。リアル少女期の息遣いが聴こえる。時に冷徹で残酷にすら見える表情の変化も。それすらこちらの勝手な幻想にすぎない。にしても。



美しいばらさわって見る、つやつやとつめたかった。ばらは生きている


もも色の花よく見つめているうちにやさしさとあきらめを花に思った


解説を川上未映子さんが書いてます。


好きな少女文学といって、最初に思い浮かぶのは

室生犀星蜜のあわれ』。これを少女文学といっていいのかは分かりませんが。会話のみで構成される変な作品。老作家と金魚のやりとりを思い出すと、泣いてしまう。なにより明るさが好きだ。ついでに
尾崎翠 (ちくま日本文学 4)

尾崎翠 (ちくま日本文学 4)

尾崎翠第七官界彷徨』。自分にとっては殿堂入りしてる作品。詩人は何処にもいなかったのです。やはり明るさが好きだ。