『秘密の森の、その向こう』

Petite Maman

CINEMOREさんにセリーヌ・シアマの新作『秘密の森の、その向こう』評「標本瓶に詰められた秋、さよならを忘れないために」を寄稿させていただきました。小さな呪文を唱え合うような作品。セリーヌ・シアマの最高傑作だと思っています。

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以下、セリーヌ・シアマと撮影監督クレア・マトンの言葉を。

 

「子供の頃を思い出すと秋を思い出します。秋は故郷のように感じられます」

 

「通常の家族の対立とは異なる物語を提供しています。突然、母と娘が同い年になることで家族の間に平等さがもたらされます。世代間のシスターフッドを表現したかったのです」

 

「同じ日に生まれた姉妹を配役したのも、この2人が同等であるという考えを広めるためです」

 

「アドリブは全くありませんでした。パンケーキのシーンは別です」

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セリーヌは感覚について、秋の色について、子供の頃の森について、たくさん話してくれました」(クレア・マトン)

 

「まるで楽譜を書くようにシークエンスごとに正確な指揮をとりながら、光と向き合いました。すべての瞬間がユニークで特別でなければなりません。物語が激しく、そして幻想的になる度に自然光の本当の豊かさを再現するように努めました」(クレア・マトン)

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「私は常に『燃ゆる女の肖像』の政治性を拡大しようとしています」

 

「子供たちの服は2020年のものを用意していますが、同時に1950年代にもあったかもしれないものを用意しています。たとえばマリオンの靴は、1955年当時も今も手に入るものです。撮影監督のクレア・マトンは基本的にすべてそうしなければならないと言っていました。つまり、すべてのディテールにこだわるということです。この家は50年前のヨーロッパのインテリアデザインを体現しているはずです。食器棚を開けると、現代の食器と50年前の食器が入っています」

 

「私はいつも映画の中の感情について話していました。たとえばネリーが母親を確認するためにスパイのように部屋に入るとき、彼女に対して”あなたは怖がっている”とは説明せず、”これはスパイ映画です”と言うことにしています」

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「『僕の名前はズッキーニ』のようにメランコリックでタフで感情移入できるような映画に関わったことは、脚本家としての私を完全に変えてくれました」

 

「フランス映画草創期のアリス・ギイ=ブラシェと、映画に関する画期的な思想家であり、夢としての映画を探求した『微笑むブーデ夫人』と『貝殻と僧侶』の監督であるジェルメーヌ・デュラックについて考えています。デュラックはマジックリアリズムを実践していたので、私の心に最も近い存在といえます。彼女は映画の哲学者であり、言語としての映画、文法としての映画の活動家でした。デュラックは映画は文学ではなく音楽だと言っていたのです。私は彼女のことをよく考えていました」

 

などなど。

 

『秘密の森の、その向こう』は絶賛公開中!

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