『C.R.A.Z.Y.』パンフレットへの寄稿

ジャン=マルク・ヴァレ『C.R.A.Z.Y.』の劇場用パンフレットに「共に歩むということ」という評を寄稿しております。劇場にお立ち寄りの際は宜しくお願い致します!

ザックの物語は家族の物語でもあって、そのことがタイトルの由来にも隠されています。『C.R.A.Z.Y.』は「分かりあえないということだけを分かりあう」ということを、何かの解のように描くのではなく、互いに歩み寄ろうともがく苦闘の経年そのものを家族の物語として描いています。厚みがあるんですよね。若いながらも歴史ありです。なによりザックは悲しみや疎外感だけでなく、愛されることも知っている若者なのです。そこがよい。

C.R.A.Z.Y.

今回、原稿を書くにあたってマルク・ヴァレの未公開の過去作も見てみました。なかでも『Loser Love』というヒッチコック的な画面で構成されたサスペンスがとても好きでした。その後のスタイルとは違う、シネフィル映画作家の作風。この作品はもっと評価されてもいいと思います。とはいえマルク・ヴァレの快進撃は『C.R.A.Z.Y.』からですけどね。ポップミュージックをタトゥーのように体に刻んでいくザックの成長記を是非劇場で!

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