エミリー・ブラント論、アウトロ

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Emily Blunt

realsound.jp

エミリー・ブラント論「走りながら考える女」のアウトロ(自分用のメモ的なもの)。主にエミリー・ブラントの発言。

 

【吃音の経験】

 

「私の吃音は、6~7歳頃から本格的になり、だんだんと難しくなってきて、11~12歳頃にはかなり定着していました。私のすべてではなく、私という人間の一部だったのです。それによって私を定義したがる人もいました。それは大変なことでした。」

 

「私が12歳のとき、担任のマクホール先生という、とてもクールな人がいました。彼は、口ひげを生やした大男でした。彼は私にクラスの劇をやりたいかどうか尋ねてきましたが、私は断りました。すると先生は、「でも、君ならできると思うんだ。君がおかしな声を出したり、人の真似をしたりするのを聞いたことがある。訛りのある声でやってみないか?」と言ってきました。これは、子供の頃の私にとって、とても自由を意味することでした。突然、私は流暢さを手に入れたのです。ある意味では、自分を自分自身から切り離すことは自由なことでした。」

 

「吃音のような経験をすると、ある意味では、とても聞き上手になると思います。世界を違った方法で吸収することができます。吃音を経験すると、あまり話したくなくなってしまうからです。自分の周りで起こっている多くのことを意識するようになるので、私は本当に観察力のある子供だったと思います。」

 

「私はAmerican Institute of Stuttering【アメリカ吃音協会】が大好きで、彼らが子供たちに教えていることは、「本当にひどい吃音だ」ということではありません。それよりも、「とても上手に吃音します。素晴らしい吃音者だ」ということです。逆の心理学のようなものですね。これは本当に助かります。世の中の情報が不足していること、あるいは人々が吃音を誤解していることが大きな問題です。」

 

*このアメリカ吃音協会にはエミリー・ブラントの他に、ブルース・ウィリスなども講演を行っているらしい。

 

【『メリー・ポピンズ リターンズ』】

 

「(メリー・ポピンズが早口なことについて)それは私が選んだことです。キャラクターに合わせて選んだのです。1930年代のイギリスの上品なアクセントにこだわりました。この女性は、痛みや喪失感、重苦しさを抱えて生きている人々の人生に入ってくるのですが、彼女は空気よりも軽い存在であるべきだと思いました。彼女は空気よりも軽く、竜巻のように入ってきて、すべてを一掃し、再びすべてを正しい状態にするべきなのです。」

 

 

【『ジャングル・クルーズ』】

 

「子供の頃に見た『インディ・ジョーンズ』や『ロマンシング・ストーン』、『アフリカの女王』などの映画を想起させる、という理由で、この古風な作品を演じるチャンスを逃したくなかった。私はそれらを身体の中に取り入れました。まさに私が見たい映画がここにあったのです。」

 

撮影監督*フラビオ・マルティネス・ラビアーノ↓

「インスピレーションを受けた映画のひとつは、ショーン・コネリーが出演する『風とライオン』です。また、スケールの大きさを追求し、何も恐れないという意味では、ジョン・ヒューストンの『王になろうとした男』も参考にしました。私はこれらの映画で育ちました。」

 

 

【『マイ・サマー・オブ・ラブ』】

 

「気取った人を演じるのは楽しいことですが、同時に彼女のことを本当に好きにならなければなりませんし、彼女に魅了されなければなりません。十分な謎を残しつつ、すべてを明かさないようにすること。それはとても微妙なラインで、難しいことでした。それに、私は自分とは全く違う人物を演じていましたからね。」

 

コリン・ファース共演のロードムービー『アイ・アム・ニューマン』が、とても面白かった。この時点でのエミリー・ブラントの集大成的な演技が披露されている。言いたいことを全部言って、わがままなんだけど憎めない繊細さがあるという。この後、エミリー・ブラントはアクション映画の趣向を自身の身体に取り込んでいくのだけど、そこでもここまでの演技が活きている。「代償はすべて払う」という。また、トム・クルーズに対する「彼は自分のすべきことを分かっている」というエミリー・ブラントの言葉は、むしろ彼女自身のことを表している。ひたすらエミリー・ブラントを活かしたトム・クルーズは偉大だなって思った。