ジャック・リヴェットの秘密

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ジャック・リヴェットのインタビューを読んでいて、興味深かったところを少しだけ抜粋。ラース・フォン・トリアーに秘密がないかどうかはともかく(少なからず彼に秘密はあるのではないかと思っています)、全てが説明書に書いてある映画は面白くないという言葉に共感します。正しいのかもしれないけど、まったく面白味を感じない評判のいい作品ってありますよね。最近感じているものは、それかーと合点。

 

「映画監督が自伝を作らなければならないというわけではありません。それは、ジャン・ユスターシュと一緒にルノワールのテレビシリーズを編集していた三か月間に行った大きな議論でした。私たちは、自分たちが作った素材を何度も見たり、ルノワールの映画をもう一度見たりしながら、常に議論していました(私たちは、30年代の彼の映画のほとんどを編集台の上で見ていました)。ジャン・ユスターシュは「映画は個人的なものでなければならない、自分自身について語らなければならない」と言っていましたが、私は「いや、自分自身について語るべきではない、フィクションを構築し、物語を発明しようとするべきだ」と言いました。」

 

「最終的に、ジャン・ユスターシュは自伝的な映画を作り、それが自分自身を語っているにも関わらずフィクションとなり、私もフィクションを作ろうとしましたが、自分が経験したことを紹介してしまったことが二回か三回ありました。もちろん、『狂気の愛』では気づいていましたが、他の作品では、ずっと後になって、自分にとって秘密だったことを話してしまったことに気がつきました。」

 

「手のひらで目を隠して、少しだけ指を広げて見ている子供のように、(秘密を)半分だけ意識する必要があるのです。」

 

ラース・フォン・トリアーは何でもすぐにわかってしまう。秘密なんてない、秘密なんてないんだ、かわいそうに。全てが説明書に書いてある。だから、彼の映画は観客にも批評家にも受けがいいんだ。すべてがマニュアルに書かれていて、新しいことは何もない。19世紀のアカデミックな演劇の古い法則なんだ。」