デヴィッド・リンチの学生時代


『Six Men Getting Sick (Six Times)』(1967)


デヴィッド・リンチが学生時代に撮った短編『Six Men Getting Sick (Six Times)』(動画へのリンクを貼っておきます)。最初っからこんなかい!?と、ちょっと笑ってしまうのですが、無理矢理こじつけると、ある「肖像」がボミットするという主題に一貫性が見られるというか。デヴィッド・リンチの映画を「芸術」をやりたい人と言って好まない人がわりと多いのは、よく知られていますが、個人的にはそんなことはかなりどうでもよくて、デヴィッド・リンチの作品が放っている「アメリカの映像史(肖像史)」に対する吐き気を伴うような悪夢には大いに惹かれるものがあります。たとえば「古き良きアメリカの光景」としてラグジュアリーなツルッツルの写真(ウェスト・コーストJAZZのジャケットだったり)があったりするわけじゃないですか。悪夢的にツルッツルな。デヴィッド・リンチはそういう反転された側面の映像史、肖像史にとにかく惹かれていて、だからこそ「顔」が好きな人なんだと思う。映画監督引退宣言は間違いなく撤回されるはずなので心配はしておりません。


エル・ファニング主演の最新ショートフィルム『First Stars I See Tonight』がアップ。ジョゼフ・ゴードン=レヴィットがホストを務める番組の一部だそうで、監督のクレジットは不明だけど、これジョゼフ・ゴードン=レヴィットがかつて監督した短編の雰囲気とちょっと似ています。ジョゼフ・ゴードン=レヴィット初長編監督作品『ドン・ジョン』は3月に日本公開。個人的には『ドン・ジョン』にも出演しているスカーレット・ヨハンソンの初長編監督作品に強く惹かれています。スカヨハの監督した短編、とても素晴らしかった!


モーリス・ピアラ『ヴァン・ゴッホ』公開記念 アントワーヌ・ドゥ・ベック×廣瀬純 トークショー」の採録記事がとても素晴らしかったので紹介。この二人の対話には相手の話をよく聞いて自論の中で発展させていく本当の意味での知性があってとても面白い。モーリス・ピアラが好きかどうか以前に、純粋に映画をめぐる対話としてとても刺激的。
http://www.outsideintokyo.jp/j/news/mauricepialat_talk.html