ジャン=マリー・ストローブ 80th Birthday
まずは『ネットワーク』(シドニー・ルメット)でアカデミー主演女優賞を受賞した翌朝のフェイ・ダナウェイ。ビバリーヒルズの自宅にて。撮影はテリー・オニール。カッコいいわー。
次に先日1月8日に80歳の誕生日を迎えたジャン=マリー・ストローブに寄せられた7人の映画監督からのメッセージの一部を抜粋します。
「ミュンヘンの学校で短編映画を撮り始めた頃、私は偉大なアメリカ映画とヨーロッパ映画を知っていた。けどそれ以上に、インディペンデントで映画を作っていく上での生き方そのものを示してくれる存在であり、何者にも縛られることなく、また、何者にも屈することのないラディカルなヒーローがいた。ジャン=マリー・ストローブのことだ。」
「ジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレは僕の前に立ち、”映画の世界では、いま、この目の前に広がるこの場所こそが世界の中心なんだ”と説いてくれた。」
「くわえタバコをふかしながら話すのが似合うのは、ジャン=ポール・ベルモンドとジャン=マリー・ストローブをおいて他にいない。」
[トム・アンダーセン]
「ジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレの映画には決して忘れることのできないショットがある。たとえば『花婿、女優、そしてヒモ』のファーストショット、『早すぎる、遅すぎる』のラストショット・・・。ジョン・フォードの映画が、単純なカメラの動きで泣けるのと同じことなんだ。」
「ジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレには、映画と人生についてたくさんのことを教わった。この世界がどれほど美しいかということもね。」
[アルベルト・セーラ]
「映画作家になると決断したとき、幸運なことに僕はまだストローブ=ユイレの仕事のことを知らなかった。もし知っていたら、映画作家にはなっていなかったかもしれないね。」
「ストローブ=ユイレの仕事を知った今、逆説的だけど、彼らの作品は”撮り続けろ”と僕を励ましてくれる。」
「僕の処女作のパリでの上映にジャン=マリー・ストローブが駆けつけてくれたことは、とても誇らしいことだったよ。」
「ストローブ=ユイレは俳優の視線とカメラポジションの軸という”原則”を尊重している。」
「ストローブはカメラ位置を決めるのに、たいてい一時間か、それ以上の時間をかける。ここには実践的な理由があるんだ。魔法のように見えるけど。」
トム・アンダーセンはジャン=マリー・ストローブから失業中に激励の手紙を貰ったそうです。ほかペーター・ネストラーが非常に短い文でジャン=マリー・ストローブとの友情を謳い、ジョン・ジャンヴィトがジャン・ルノワールの言葉を引用して「どのように愛しているのかを説明することなんてできない」とコメントを寄せ、ミヒャエル・ハネケは『エンペドクレスの死』を見たときの感銘を語っています。
尚、トム・アンダーセンは新作(?)が恵比寿映像祭で上映されます。
http://www.yebizo.com/
こちらはジム・ジャームッシュの最新インタビュー。ジム・ジャームッシュ&ジョゼフ・ヴァン・ヴィセムのアルバムのインタビューですが、編集中の新作『Only Lovers Left Alive』のことも語っています。
「『Only Lovers Left Alive』というタイトルなんだ。ティルダ・スウィントン、トム・ヒドルストン、ミア・ワシコウスカ、ジョン・ハート、アントン・イェルチン、ジェフリー・ライトが出演している。秘められたヴァンパイアについての映画だ。吸血鬼になった二人による何世紀にも渡るラブストーリーなんだ。デトロイトやモロッコのタンジェが舞台だ。とても奇妙な話だね。登場人物はとても長い時間を生きている。女の方は2000年くらい、男の方はたぶん500年くらいかな。しかも彼はミュージシャンなんだ。ルネッサンス・スタイルの美しいリュートと、エレクトリックギターのフィードバック、へヴィーロック、ドローンがミックスされたこの音楽が、このフィルムの中で美しく響くんだ。」
- アーティスト: Jozef Van Wissem & Jim Jarmusch
- 出版社/メーカー: Sacred Bones
- 発売日: 2012/11/13
- メディア: CD
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こちらはホウ・シャオシェン新作『The Assassins』の撮影現場に潜入という記事。何年も前から噂されている歴史物アクションですね。現在台湾で撮影中。出演はスー・チー、チャン・チェン、映画監督のチアン・ウェン(『鬼が来た!』)。この企画が発表された当初の浅野忠信と妻夫木聡というキャスト陣はその後どうなったのかは不明です。とはいえ楽しみ。いよいよ今週から中国で公開の始まったウォン・カーウァイの『一代宗師』、ジョニー・トーのプロデュースでジャ・ジャンクーが撮るカンフー映画と、このところアジアを代表する監督がアクション映画を撮る動きがあるみたいです。
ではまた次回。