Michael Jackson
ブルース・ウェーバーが撮った『レッツ・ゲット・ロスト』を観てチェット・ベイカーのヘロイン漬けの凍りのような死に様に感慨深い気持ちになりながら、さていざ寝ようというときにマイコーの訃報が入ってきて、そのまま寝れずにいる。いままでマイコーの顔面崩壊を笑い者にすることでしか報道できなかったワイドショーが『スリラー』の天文学的な売り上げ枚数を読み上げながら哀悼らしきものを捧げている。人の言葉や行動の裏に対して、想像力の足りない報道に今更憤りこそ感じないものの、この白々しさはひたすら悲しい。マイコーの死がジェームス・ブラウンの死とは別の意味で実感のないものだとしても(JBってパワフルすぎて亡くなられていることをつい忘れてしまう)。
保育園の頃から朝まで起きているようなどうしようもない子供だった私は、深夜放送で見たマイコーのダンスにそれはもう夢中になった。大人になって改めて聴いた『オフ・ザ・ウォール』は今でも生涯の10枚に入る大切な作品で、多くの識者たちと同様、やはりマイコーの最高傑作だと思う。そしてパーフェクトな存在、JACKSON5。クリスマス・アルバム、「Up On The House Top」を聴けば、季節は問わず吐く息は白にワクワクと胸が高鳴るし、アルバムのカーテンコールで合唱する「We wish you a Merry Christmas」の多幸感には何度だって泣かされた。
2nd『ABC』収録のデルフォニックス「La La means I love you」カヴァー。子供時代のマイコーが切実なまでにシャウトする、一際美しいタイトルを持つソウルナンバー。マイコー、あなたのメロディはきっと「I LOVE YOU」という言葉を伝えるためだけにあったんだね。偉大なるソウルの巨星の逝去に今日は踊ってやるさ。
追記*「La La means I love you」のオリジナルはハロルド&メルヴィンズじゃなくてデルフォニックスですね。訂正しておきます。オリジナルアルバム、ノンクレジットの「We wish you a Merry Christmas」を冒頭に持ってくるサバービア編集『フリーソウル:ジャクソン・ファイヴ』は入門盤として以上にとても粋だと思います。
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