『ブリジットとブリジット』(リュック・ムレ/1966)


輸入DVDでリュック・ムレ。ゴダールに「真に革命的な映画」と最大級の賛辞を送られた作品。すべてのショットがまるでファーストショットのような、絶えず更新されるショットの鮮度が病みつきになってしまい2度続けて見てしまった。この作品の横に並べたいのは昨年日仏学院で見ることが出来たジャック・ドワイヨンの『西暦01年』ですね。画面を満たす愛おしきユーモアの潤いにおいて。知性に裏打ちされた画面の悪戯な開放において。偶然駅の待合で出会った全く似ていない擬似双子の女子ブリジットとブリジット。2人が会話をするときは常に横並びで撮られるのだけど(ベッドに座って語らう場面がキュート)、たった一度だけ正面のアップで切り返す箇所がラストにあって、ここで挿まれる暴力的なまでに唐突な切り返しは、この似ても似つかない可愛らしい姉妹/双生児を切断する、決定的な別れのメスとしての機能がある。



ブリジットとブリジットは快活に動き回る。シャンゼリゼエッフェル塔、工事中のキャンパス(授業中にトンカンコンカンいう騒音が聴こえる)、映画館での調査、そしてベットでの女子トーク(時折挿まれる消灯と点灯が刺激的な効果)。妹ブリジットが呟く「映画は教えてくれる―――女性が労働ではなく愛によって形成されることを」。グダついてばかりの男子を傍目に「働く」双生女子2人は皮肉にも愛によって切断され、新しい個=女性の生命を得る。ブリジットが意地悪そうなダミ声で「ブリジットとブリジット、おしまい!」と吐き捨てる終わり方がまたチャーミング。おそらく何度見ても鮮度を失わない、独創的な作品です。