『私、君、彼、彼女』(シャンタル・アッケルマン/1975)

「増殖するカオスモス大友良英×宇川直宏×菊地成孔
http://ex-po.net/
ポ祭。ライブも見たいけどこの3者のトークを聴きたい。nu3号の長大な対談(52p!)は読んでないけど(買わなきゃ)、宇川さんと菊地さんって似たものを感じる。ちょっと軽い躁状態というか。何年前だったか、宇川さんは浅野忠信さんとのトークで「谷岡ヤスジ、ヤバイッ!!!!」って本来の主旨と関係なくハイテンションで盛り上がっていたという楽しい記憶があります。行きたかった、、、。


閑話休題



シャンタル・アッケルマンのDVDを見る。これは昨年フランス/ベルギーで発売された70年代の作品を収めたBOX。英語字幕付き。日本でソフト化されているアッケルマン作品といえば『カウチ・イン・NY』(1996)と『ゴールデン・エイティーズ』(1986)。他、ピナ・バウシュ(!)のドキュメンタリーも出ているようなのですが未見です。


ゴダールの『気狂いピエロ』を見て映画作家を志したという彼女。その後アメリカに渡りスタン・ブラッケージやマイケル・スノウの実験的フィルムに強い影響を受けたのだそうです。『私、君、彼、彼女』はアッケルマン最初の長編。当時24歳の彼女による監督・脚本・主演作品。この作品で彼女の名は欧州中に広まったのだとのこと。


女の子の部屋からマットレスを除くすべての家具が取り除かれる。部屋の隅の光の乏しい角で寂しげに佇む彼女。窓から漏れる仄かな光さえマットレスで遮ってしまう。「私は待っているのだ」とナレーションが入る。手紙を書き始める。「彼」に送る手紙、しかし「彼」とは?文章を書いては砂糖を舐める彼女。ひたすらその繰り返し。やがて全裸になった彼女は自らのテクスト(手紙の山)の中にその無防備な姿態を埋めてしまおうとする。書かれたものと裸の女の子。


ある日、フィックスカメラで捉えられたこれらの乾いた日常が、急激に変わり始める。窓際に「彼」のようなものを幻視した彼女は、ヒッチハイクの旅に出る。トラック運転手の男とのロードムービーへ。食堂、バー、ジュークボックスからガトー・バルビエリによる「ラストタンゴ・イン・パリのテーマ」が流れる。ここで少女らしいあどけなさを残したアッケルマンの表情が「彼」といることでより鮮明になる。宙吊りにされた逃避行。女友達とのベッドシーン。激しくお互いの体を求め合う二人。やさしいタッチではなく、ほとんど獣と獣のぶつかり合いのようなレズシーン。翌朝彼女はひっそりと出て行く。面白い!