『ステージドア・キャンティーン』(フランク・ボーゼージ/1943)

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引き続きフランク・ボーゼージ。DVDで。日本でソフト化されてるのはここまで。ドイツと日本憎しな内容なので、ここ日本でソフト化するに当たり問題があるところはいろいろとカットされている模様。なので完全版より10分ほど短い120分版です。しかしこの画質の悪さはちょっと信じ難いレベル。500円DVDのが遥かにキレイなくらい。それはともかく、そして戦意高揚映画であることも一度何処かに置いておいて、総勢80人のスターたちがノーギャラで出演しているというこの作品。ステージドア・キャンティーンという兵士たちを労うお店で繰り広げられる、それぞれのステージ、腹話術だとかレイ・ボルジャー(『オズの魔法使い』)によるタップダンスは思わず映画であることを忘れさせるくらい単体でショウとして成立していて思わず見惚れてしまうのだけど、ここまで見てきた傑作群に比べてちょっと落ちるかなぁと思っている内に、いつの間にか男3女3のそれぞれの恋物語は始まっていて、男たちはそれぞれカリフォルニアとかテキサスとか地名で呼ばれるわけだけど、この恋物語がなかなかに捨て難く、『歴史は夜作られる』のように気付いたら朝だったという展開に到る直前の玄関の前でのクルッと半回転してキスをするショット。同僚の女性たちにバレたらこりゃ不味い(今後一切入店できなくなる)とばかりに、パッと目を見開いたそのすぐ後に同僚が通りかかったり、ダンスの場面で何度もキスが直前で失敗に終わるとこも、こういう微妙なタイミングのズレというか擦れ違いはやはり良い。戦争に引き裂かれる恋人たち、最後はキャサリン・ヘップバーンによる世界の平和のために仕方がないのよな説得と、ガンバレ勝利の日まで!なナレーションが入っちゃって最後の最後に大味になっちゃうわけですが、それ単体で独立してしまうシーンやセンチメンタルな細部は、それとは逆にとても繊細に作られている。ちなみにハーポ・マルクスがチョイ役で出ていました。