菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール@歌舞伎町クラブハイツ


ペペのリサイタル、マチネー(17時からの公演)で。ペペ単独のライブは実は初でドレスコードはないものの、暗黙の了解としてオシャレは必須なわけで、というかこういう時にオシャレしないと全然楽しくないじゃないか?という感じなので、筋金入りのオシャレさんには何万光年も遠く敵いませんが、自分なりに服装に気を使って行きました。会場に着くと歌舞伎町の裏も表も知っていそうな品の良いボーイさんが「お席のご案内をします」と、エントランスを抜けると、オォォ、こ、これがクラブハイツ!近年の嘘で塗り固められた安っぽいレトロ趣味(←横浜とかにあるやつ。大嫌い)とは一味も二味も違う、凄まじいシャンデリア!早速キョドってしまった。学生時代、在りし日の歌舞伎町純名曲喫茶スカラ座にちょこちょこ通っていたのですが(取り壊し前の一年くらいですが)、またしてもこうゆう場所が無くなってしまう(かもしれない)なんて、セツナイ。都知事よ、、、。クラブハイツについての超面白い記事は昨年の菊地さんの日記に載ってますので以下に。
http://www.kikuchinaruyoshi.com/dernieres.php?n=070208192409

言うまでもなく演奏は最高だった。ペペのライブに出向くということは、自らが負った傷をわざわざ広げに行くようなもの。でもそうしなければ分からないことがたくさんあるのだ。不協和音がスンゴイことになってしまう弦楽隊が菊地さんの合図でピタッと調和を取り戻したり、又崩れたり。どう考えても亡霊を呼んでいるとしか思えない官能の演奏が、此処クラブハイツの積み重ねてきた喪失の歴史(妄想ですが)と重なり合って、昇天ですよ、昇天。「映画に呪われた非映画音楽」とは?ゴダールの『はなればなれに』のテーマだって、菊地さんがカヴァーしてくれなければ完全に忘れてしまっていたという不思議な、でも大変美しい音楽(ワルツ)ですもんね(このルグランによる映画音楽の「どうして忘れてしまうか?」の構造について、先日のアテネの講義で菊地さんが話されていたのですが、忘れてしまいました)。早速、新譜が待ちきれない。


画像は菊地さんのとこからの転載ものです。てかライブ後は撮影自由だったんだ!?カメラ持ってくべきでした。失敗した


追記*各メンバー紹介のあと「石原慎太郎でしたぁーーー」には笑った。
追記2*『パビリオン山椒魚』の富永監督が撮影していました。
追記3*つい2週間ほど前、菊地さんの生徒さんとキップ・ハンラハンアメリカンクラーヴェの話をしていて、そこで知らない音楽をいくつか教わったのでいざ試聴してみたら、それがペペ好きにはドンピャな内容でビックリしました。アントニオ・カルロス・ジョビンのお師匠さんのRadamés Gnattaliとか、諸々。ありがたい。
追記4*パーカッションの大儀見さん、カッコいい。体の動きが日本人離れしてる。