『マイ・ブロークン・マリコ』

My Broken Mariko タナダユキ『マイ・ブロークン・マリコ』試写。役を演じているというより、役を生きている永野芽郁を見ているだけで泣けた。この作品の永野芽郁の演技には漂白されていない生の輝きがある。彼女を見ているだけで価値がある。「キレイなあの…

レア・セドゥ論(キネマ旬報)

The Story of My Wife けっこう過ぎちゃいましたが、キネマ旬報8月下旬号に寄稿させていただいたレア・セドゥ論「カメラの前で歳を重ねる」を書く際に参考になったレア・セドゥの言葉などを以下に。「カメラの前で歳を重ねたいのです」という言葉にとても痺…

マチュー・アマルリック

Mathieu Amalric マチュー・アマルリック監督作品をまとめて見る。『L'Illusion Comique』(2010)は初見。『L'Illusion Comique』は、屋上の銃撃戦における空間把握やゴルフクラブを持ったヒロインが車を破壊するシーン、複数の防犯カメラのシーンなど、唐…

『雨のなかの女』

The Rain People フランシス・フォード・コッポラの『雨のなかの女』を再見。紛れもなく映画作家の作品であることに驚かされる。バーバラ・ローデンの『WANDA/ワンダ』とも共振している。フェミニズム映画としても重要な作品。家を捨て、彷徨の旅に出るナタ…

パゾリーニ映画祭「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」

Sopralluoghi in Palestina per il Vangelo secondo Matteo 「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」で上映される未公開作品の試写を二本。ドキュメンタリー映画『「奇跡の丘」のためのパレスチナ訪問』とオムニバス作品『イタリア式奇想曲』。どちらも日…

『反逆のパンク・ロック』

Suburbia ペネロペ・スフィーリスの『反逆のパンク・ロック』が公開中。とても面白い作品。ハーモニー・コリンはこの映画のこと絶対好きだと思う!最初の方のえげつない親子喧嘩のシーンで、既に素晴らしい。キッズたちを追い払うために銃持ったおじさんが出…

ロミー・シュナイダー映画祭

Romy Schneider CINEMOREにロミー・シュナイダー映画祭上映作品『地獄』と『マックスとリリー』について寄稿させていただきました。 cinemore.jp cinemore.jp Henri-Georges Clouzot's Inferno 『地獄』に関しては輸入DVDが発売された際、ブログ記事にしたこ…

『C.R.A.Z.Y.』パンフレットへの寄稿

ジャン=マルク・ヴァレ『C.R.A.Z.Y.』の劇場用パンフレットに「共に歩むということ」という評を寄稿しております。劇場にお立ち寄りの際は宜しくお願い致します! ザックの物語は家族の物語でもあって、そのことがタイトルの由来にも隠されています。『C.R.…

「Suite For Barbara Loden」

Suite for Barbara Loden CINEMOREさんへの『WANDA/ワンダ』評のリサーチで読んだナタリー・レジェによる「バーバラ・ローデンのための組曲」について少しだけ本文をご紹介。バーバラ・ローデンの言葉もあります。批評とも伝記とも私小説ともつかない、とて…

『WANDA/ワンダ』評

WANDA CINEMOREさんにバーバラ・ローデンの伝説的な作品『WANDA/ワンダ』評、「結末を拒否するヒロイン、終わりのない彼女の物語」を寄稿させていただきました! cinemore.jp アンスティチュ(旧日仏学院)で無字幕で見たのが『WANDA/ワンダ』との出会いでし…

『冬物語』評

Conte d'hiver CINEMOREさんにエリック・ロメール『冬物語』評「偶然への賛歌」を寄稿させていただきました! cinemore.jp 「四季の物語」シリーズで一番思い入れのある作品なので、この作品について書かせていただいたことを嬉しく思っています。とはいえ全…

『ジャンヌ・ディエルマン』とシャンタル・アケルマン

JEANNE DIELMAN 23 QUAI DU COMMERCE 1080 BRUXELLES シャンタル・アケルマン映画祭が盛り上がっているということで、キネマ旬報さんに執筆した『ジャンヌ・ディエルマン』評、告知記事の続きをサクッと。 maplecat-eve.hatenablog.com 『ジャンヌ・ディエル…

『MEMORIA メモリア』評

MEMORIA CINEMOREさんへの『MEMORIA メモリア』評についての番外編。アピチャッポン・ウィーラセタクンとティルダ・スウィントンによる幸福なコラボレーション。以下、アピチャッポンの言葉を。 cinemore.jp 「記憶がどのように働き、経験、特に映画を見る経…

ウェス・アンダーソンとレオス・カラックス

Wes Anderson ウェス・アンダーソンのお誕生日!ということで、ウェス・アンダーソンがレオス・カラックス『汚れた血』について語った言葉を以下に。この言葉は、ウェス・アンダーソンへの白紙委任状で『汚れた血』が選ばれたときのもの。誰かが特定の映画に…

『アネット』評②

Annette CINEMOREさんへの『アネット』評、「変奏のアネット」の番外編。今回はレオス・カラックスの言葉を以下に。カラックスのインタビューといえば、『レオス・カラックス 映画を彷徨うひと』の80P以上に渡るインタビューは本当に素晴らしいので必読です…

『アネット』評

Annette CINEMOREさんにレオス・カラックス『アネット』評を寄稿させていただきました!「変奏のアネット」。 cinemore.jp キャロリーヌ・シャンプティエの言葉がとても面白かったので、今回は彼女の言葉をご紹介します。めちゃくちゃ記憶力がよくて頭の回転…

『ベルイマン島にて』評

Bergman Island Un Amour de Jeunesse CINEMOREさんにミア・ハンセン=ラブ新作『ベルイマン島にて』評、「誰にも奪い去ることができない彼女の物語」を寄稿させていただきました! cinemore.jp 『グッバイ・ファーストラブ』の「最終章」としての『ベルイマ…

『デュエル』評

Duelle CINEMOREさんにジャック・リヴェット『デュエル』評「ジャック・リヴェットによる俳優主義!」を寄稿させていただきました! cinemore.jp 『デュエル』と『ノロワ』、『メリー・ゴー・ラウンド』がまさかの公開という、こんな素敵な機会は絶対に逃し…

キネマ旬報 2022年5月上下旬合併号

Jeanne Dielman キネマ旬報にシャンタル・アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン』評「美しい事故」と、ミア・ハンセン=ラブの日本未公開作『MAYA』評「透かし絵としての身体」を寄稿させていただきました! キネマ旬報 2022年5月上下旬合併号 No.1893 …

『レオス・カラックス 映画を彷徨うひと』

『レオス・カラックス 映画を彷徨うひと』 『レオス・カラックス 映画を彷徨うひと』に『ポーラX』論「永遠に君を愛す」を寄稿させていただきました! 昨年秋頃にご依頼をいただき、ようやく祝出版!『ポーラⅩ』について書くなら、このタイトル以外、自分の…

『ウェス・アンダーソン 旅する優雅な空想家』書評

『旅する優雅な空想家』(フィルムアート社) 告知が著しく溜まってますが、ゆっくりとランダムにまずはこちらから。 かみのたねにイアン・ネイサン著『ウェス・アンダーソン 旅する優雅な空想家』の書評を寄稿させていただきました。 www.kaminotane.com 「…

『麻希のいる世界』評

麻希のいる世界 cinemore.jp CINEMOREに塩田明彦『麻希のいる世界』評、「映画の疼き」を寄稿させていただきました。大好きな作品です。この作品の血走り方を語る際、映画作家の固有名詞に頼りたくないなと思っていて、出てきた言葉が「疼き」という言葉でし…

『ダムネーション/天罰』評

Damnation cinemore.jp CINEMOREにタル・ベーラ『ダムネーション/天罰』評、「鎖に繋がれたメランコリー」を寄稿させていただきました。タル・ベーラの入門としても最適な作品です。この作品がタル・ベーラとの出会いだったらよかったのに!と心底思いました…

『ブルー・バイユー』へのコメント

『ブルー・バイユー』 ジャスティン・チョン監督『ブルー・バイユー』にコメントを寄稿させていただきました!タイトルの時点で気になっていた作品。『ブルー・バイユー』は、なによりジャスティン・チョンの瞳の映画だと思っています。びっくりするくらい、…

『フレンチ・ディスパッチ』評

The French Dispatch otocotoさんにウェス・アンダーソンの新作『フレンチ・ディスパッチ』評を寄稿させていただきました。『フレンチ・ディスパッチ』については、「装苑」さんに続き二度目の評になります。 otocoto.jp ちょうどウェス・アンダーソンがレオ…

Tilda Swinton

Caravaggio 『MEMORIA メモリア』が素晴らしくて、ティルダ・スウィントンへの愛が止まらない。あるインタビューで、SNSをやらない理由を聞かれたティルダはこう答えました。 「たとえ庭のどこかが燃えていたとしても、私は薔薇(を育てること)に集中してい…

2021年ベストシネマ

【新作ベスト】 Never Rarely Sometime Always 1.『17歳の瞳に映る世界』(エリザ・ヒットマン) Never Rarely Sometime Always Never Rarely Sometime Always 2.『ショック・ドゥ・フューチャー』(マーク・コリン) Choc du Futur 3.『Petite Maman』(セ…

『夜空に星のあるように』評

Poor Cow Poor Cow CINEMOREさんにケン・ローチの長編デビュー作『夜空に星のあるように』評を寄稿させていただきました。 cinemore.jp 『夜空に星のあるように』は、ケン・ローチが「未熟」「無駄」と思っている部分に、むしろ魅力的なところを感じる作品で…

アニャ・テイラー=ジョイ論

Anya Taylor Joy リアルサウンドさんにアニャ・テイラー=ジョイ論を寄稿させていただきました。ほぼ『ラストナイト・イン・ソーホー』論として書きました。というのも、『ラストナイト・イン・ソーホー』は、どう考えても第一期アニャの総決算となる作品だ…

ミシェル・ウィリアムズ論

Blue Valentine リアルサウンドさんにミシェル・ウィリアムズ論「不完全な美への歩み」を寄稿させていただきました。ミシェル・ウィリアムズのことは現代で最も素晴らしい俳優だと思っているので、彼女について書くのはとても光栄なことでした。 realsound.j…